農業現場便り(ブログ)
10.152024
有機物の話
朝晩だいぶ涼しくなりました。寒暖の差が激しく体が面食らっているような方も多いことでしょう。
御身大切に、でも気持ち良い秋空の下、頑張っていきましょう!
まずは「川口肥料ニュース9月号」の御一読お願いいたします。(いつも遅くなってすみません)
今回は有機物のお話です。
有機物(炭素、腐植含量)は土づくりの要です。
水稲や露地作物に特に言えることですが、作付け前の備えである
①排水性の改善 ②pHの矯正 ③不足する栄養の補給 が大切です。
ここに今回は「④有機物の加減」を加えて紹介します。
有機物は、燃やすと炭(炭素)が残る物です。炭素は肥料成分になりませんが、土壌の腐植含量と高い相関があります。
腐植含量は地力の指標の一つです。
作物残渣、堆肥、緑肥、腐植酸資材、などを連用し有機物が蓄積すると作物の生育が良くなることが知られています。
なぜなら有機物には、
(1)作物への養分貯蔵庫
(2)土壌の団粒形成促進
(3)保肥力の増強
(4)リン酸の固定化軽減
(5)土壌微生物の富化 等の特長があるからです。
注意点は上記(1)の養分(主に窒素)の効き方が環境(温度、水分、pH、土質、使用継続期間等)によって変化する点です。
堆肥の過多投入が害になるケースは全国各地でみられています。
作物に合わせ適量を、やりすぎには注意が必要です。
なお、(2)~(5)は化成肥料にはない優れた特長のため、有機肥料、有機入り肥料は根強い人気があり、土づくり資材との相乗効果も高い優れモノです。
微生物を活かし、病気の出にくい環境へ
先日の農業新聞に掲載された富山県農林水産総合研究センターの研究結果も有機物の良さの一端を物語ります。
その研究とは、有機物(ヤシ殻やピートモス)を多く含む培土は、有機物を含まない鉱物繊維培土と比較して病気(もみ枯細菌病)を抑制する効果がある、との内容です。有機物が多様な微生物が共存できる環境を作り、その結果、病気の発生を抑制するのに役立つというわけです。
微生物の中でも作物を侵さない、いわゆる善玉菌を増やし、悪玉菌を抑えるのに有機物の存在は重要です。有機物を適度に圃場に入れる土づくりを行い、善玉菌と作物が住みやすい環境を作りましょう。
今回のお話は以上です。
これが掲載している「川口肥料ニュース9月号」はこちら
川口肥料ニュース24.9月号
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