朝晩だいぶ涼しくなり、秋らしい季節になってきましたね。
毎年お彼岸を過ぎると我が家にも先に注文したお米が届きます。
今年ほど価格が気になる年はないものです。
中干し延長の実施圃場の面積が前年比10倍以上に増加!!
J-クレジット制度加入で中干し延長(過去2年間平均よりも7日以上延長する)を行った圃場が今年は5万400haと報道されています。生産者様の手間が少ない、副収入が得られる、温室効果ガスの削減貢献等のメリットがあるため制度利用が急拡大しているようです。
ただし、分げつ確保がしにくく、根量も少なくなるため収量は3%以上低下するのではと危惧されています。また粒サイズなどの品質の低下、カドミウム汚染リスク増大の可能性が高まる等のデメリットもあります。
土質や作型により中干し期間は違うのに一律に7日以上の延長は乱暴な基準であり、導入には圃場環境の確認が必要です。
あくまで環境保全に軸足のある制度ですので、美味しいお米を沢山収穫するためには向かないことを前提に導入を考慮する必要があります。
省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
安心して中干しを行うために土作りは欠かせない!!
中干し期間の延長に取り組むには基礎的な土作りが必要不可欠です。なぜなら、以下の3つの必須事項を満たさないと減収するからです。
①早期分げつ確保が必要 (適切な土壌環境→スムーズな活着)
②表層の絶根への回復力が必要 (深い根圏の形成→強い基礎体力)
③高温への対策が必要 (無駄な蒸散・呼吸の軽減→高温化での損耗軽減)
土作りにはケイ酸、リン酸、苦土、カルシウム、鉄、マンガンなどの適正な補給が有効です。これらは根張りに影響が大きい栄養素です。特にケイ酸は水稲にとっては最重要栄養素であり、積極的な補給が成否を分けます(土づくりとは堆肥使用だけではないことをご確認ください)。
これらの栄養素が不足すると根圏が小さく、登熟期の活力低下(秋落ち)や倒伏の原因となります。また、一発肥料使用は中干し期間延長により肥効がズレます。本来なら絶妙な水管理でリスク回避するところが長期中干しではそれが不自由です。
有効策としては中干し前の生育、つまり初期生育を一層大切にするということです。(育苗・土作り・初期防除に油断は禁物)
Jクレで得られる利益を狙ったのに、減収になったり地力を落としては元も子もありません。長期中干しは「土づくり」とセットで行うのが必須なのです。
地力アップ・土づくりのため、収穫後の秋起こしの際ソイサポを施し耕しておくことをお勧めします。
来春の準備のため、有機物の投入や藁の分解等、この秋にやっておくことが重要だと思います。
お勧め資材
ソイサポ
今月号の川口肥料ニュースはこちら→川口肥料ニュース25.10月号
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